2006年1月29日 (日)

苫小牧高専でPCB漏出事故

構内の水道水などPCB検出されず 苫小牧高専、廃液流出=北海道
2006.01.28 東京朝刊 30頁 (全222字) 

 北海道苫小牧市錦岡の国立苫小牧工業高等専門学校(伊藤精彦校長)で、ポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の疑いがある液体約100リットルが流出した問題で、同校は27日夜、井戸水を使用している構内と近隣13戸の水道水からPCBは検出されなかったと発表した。

 職員が保管庫にあったドラム缶の腐食した底から、廃液の流出を確認したことに伴い、同校は苫小牧臨床センターに依頼して検査していた。同校は引き続き、廃液を置いていた保管庫下の土壌の検査を進めている。

読売新聞社

専門学校敷地でPCB漏出 百リットル、健康被害はなし
2006.01.27 共同通信 (全343字) 

 苫小牧工業高等専門学校(北海道苫小牧市)は二十七日、保管庫のドラム缶が腐食し、発がん性が指摘されているポリ塩化ビフェニール(PCB)を含むとみられる液体約百リットルが敷地内に漏れたと発表した。PCBは実験で使用した後、保管していたとみられる。生徒や職員に健康被害はないという。
 同校によると、職員が二十五日、PCB保管庫の状況を確認した結果、ドラム缶が腐食し、約百リットルが漏れているのを発見した。
 同校は井戸水の使用を中止するとともに、周辺で井戸水を使用している住民にも飲用中止を要請した。専門機関に依頼してドラム缶の残留物や井戸水への影響を調べている。生徒や職員のほか、周辺住民の健康診断も行う。
 PCBは変圧器などの絶縁油として用いられたが、発がん性などが指摘され製造販売が中止されている。

共同通信社

苫小牧高専、PCB?100リットル流出 ドラム缶の底腐食=北海道
2006.01.27 東京夕刊 13頁 (全444字) 

 北海道苫小牧市の国立苫小牧工業高等専門学校(伊藤精彦校長)は27日、学校内の保管庫から、ポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の疑いがある液体約100リットルが流出したと発表した。

 学校側の説明によると、25日、職員が保管庫内にあった200リットルドラム缶の底が腐食し、そこからPCB廃棄物の疑いがある液体が漏れているのを確認した。

 同校では、構内の飲料水に井戸水を使っていることから、苫小牧保健所などの指示に基づき、安全が確認されるまで飲料水の飲用を停止した。また、保管庫周辺の立ち入りを禁止。さらに、同じ井戸水を使用している近隣13戸にも、飲用の停止を依頼した。

 同校では以前、この液体をPCBとして化学実験の際の熱媒体に使用していた。ただ、学校としてPCBであるかどうかの確認は怠っていたという。最後にドラム缶をチェックしたのは2003年6月。これまで健康被害を訴えている人はいない。

 佐藤義則副校長は「管理体制の不備で、学生や住民に不安を与えてしまったことを心からおわびします」と陳謝した。

読売新聞社

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2006年1月18日 (水)

ダイオキシン類の環境挙動と東京都の汚染の現状

 

ダイオキシン類の環境挙動と東京都の汚染の現状

1 はじめに
 ダイオキシン類は、75種のポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDD)、135種のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、12種のコプラナーポリ塩化ビフェニル(Co-PCB)からなる化合物である。その起源は、焼却、農薬不純物、塩素漂白、過去に使用されていたPCB製品など様々なものが知られているが、強い毒性を持ち、広く環境を汚染していることから社会的関心も高い。
わが国では、1999年に「ダイオキシン類対策特別措置法」を制定し、排出基準、環境基準などを定め、焼却炉対策を中心にダイオキシン類の削減を図ってきた。2002年には、目標としていた1997年のダイオキシン類の排出量の9割削減はほぼ達成されたが、過去に排出されたダイオキシン類は、難分解性のため環境中に残留している。そこで、東京都内を対象とした調査・研究から明らかになってきた汚染の現状や、ダイオキシン類の環境中の挙動について報告する。  
                                   
2. 東京都の現状      
(1) 大気圏
 図1には当所で連続採取した環境大気の各月と年間の平均濃度、及び東京都における大気へのダイオキシン類排出量の推移を示した。

 都内のダイオキシン類の年間排出量は1998年の62.3g-TEQから2002年には6.59 g-TEQ*まで減少しているが、その99%は大気への排出と推計されている。大気のダイオキシン類濃度の低下傾向は、この排出量の減少の反映と推定される。さらに、燃焼時には微小な粒子の発生が知られるが、ダイオキシン類に関しても大気中の粒径2.1μm以下の微小粒子及びガス態のPCDD/PCDF異性体の組成比は、2.1μm以上の粗大粒子に比べ、一般廃棄物焼却炉の燃焼排ガスに極めて類似していた(図2)。この点からも、燃焼が大気中ダイオキシン類の主な汚染原因であり、焼却炉対策の効果が大気濃度の低下傾向として表れたと考えられる。一方、大気濃度(TEQ)の5~10%を占めるCo-PCBに関しては、異性体組成が燃焼よりPCB製品組成に類似し、燃焼の寄与が少ないと推定された。
             * TEQ(毒性等量):最も毒性の強い2,3,7,8-T4CDDの毒性に換算した量

             * ダイオキシン類の同族体:塩素数を表す頭文字と数字で、Co-PCBの異性体はIUPAC番号で表記    

 次に、大気中のダイオキシン類のガス・粒子の存在形態と気温との関係を、図3-1、3-2に示した。ダイオキシン類は、塩素数が少ないほど、気温が上がるほどガス態の割合が増加する傾向が得られ、同じ塩素数ではCo-PCBの方がPCDD/PCDFよりガス態の割合が高いことが分かった。また、異性体間でもガス・粒子分配が異なり、塩素数だけでなく、塩素置換位置がガス・粒子の存在形態に影響することが明らかとなった。

 大気圏から水圏・土壌圏への移行経路として降下ばいじんや沈着が知られている。しかし、都内4地点、年4回のダイオキシン類降下量調査では、都心や山間部の平均降下量は最大でも2.6倍と大きな違いは認められなかった。降下量のうち湿性(降雨時)と乾性(晴天時)の内訳では、単位時間当りで見ると湿性降下量が多いが、調査期間を通じると両降下量の割合はほぼ同程度であった。
 季節による大気のダイオキシン類の濃度変動では、図1に見られるように秋・冬に高い傾向が見られた。一方、季節による組成変化からは気温の高い夏にCo-PCBの寄与率が増加し、ダイオキシン類は大気からの降下だけでなく、土壌などから大気への揮散もあると推定された。

(2) 土壌圏 
 東京都では1998年から毎年20~60ヶ所を選定し、土壌のモニタリングを実施している。5年間の平均値は13~29 pg-TEQ/gの範囲内で変動し、明確な低下傾向は見られていない。これは、土壌中のダイオキシン類は半減期が長く、削減効果が表れるには時間を要するためと考えられる。また、都内の汚染レベルは、2002年の全国平均3.8pg-TEQ/g(N=3300)に比べると高いが、図4に見られるように高濃度土壌は都内全域に散在し、都心に集中する傾向は見られていない。
 土壌の汚染原因に関しては、各地点のダイオキシン類濃度(TEQ)と焼却との関連が指摘されている異性体の2,3,4,7,8-P5CDF、Co-PCBの#169、#126の間にかなり相関が見られた。大気降下物は燃焼系の組成を示し、汚染源のひとつと考えられる。しかし、測定点毎の濃度の違いに比べ都内の降下量に地域差が少ないことから、焼却灰、野焼き(焚き火)などの関与も推測される。


    図4 都内土壌のダイオキシン類濃度(TEQ)分布
        (1999-2001年モニタリング結果)
            

 また、環境省の2000年の調査で、全国の土壌のCo-PCBの寄与率は平均7.7%と報告されているが、同年の都内のCo-PCBの寄与率は平均で11%とやや高く、なかには43%という地点も存在した。このCo-PCB組成がほとんどPCB製品由来を示唆していることから、都内各地で熱媒体などのPCB製品の土壌への漏出があったと推定される。さらに、都内の工場跡地のなかには、PCB製品の漏洩により土壌の環境基準(1000pg-TEQ/g)を超過している地域も発見されている。そのため、トランス、コンデンサー、熱媒体などのPCB製品は、都内土壌の重要な汚染原因にひとつと考えられる。
 一方、水田を中心に過去に使用された除草剤のペンタクロロフェノール(PCP)やクロロニトロフェン(CNP)由来のダイオキシン類汚染が全国で報告されている。しかし、都内土壌は水田面積もわずかであり、農用地調査からも農薬由来の汚染が見られた地点は少なかった。 
 現在、東京都は環境基準を超過した土壌の修復計画を進めているが、土壌はいったん汚染されると修復には多大なコストがかかる。さらに、土壌汚染は大気への巻き上げや揮散、雨による水圏への流入といった二次汚染源となるおそれがある。排ガス対策や焼却灰の管理が進み、焼却関連で土壌汚染が進行する可能性は低いが、引き続きPCB製品の漏洩などの土壌汚染防止に努めていく必要がある。

(3) 水圏
 都内の河川と内湾は1988年からモニタリングが行われてきた。Co-PCBのダイオキシン類への追加、分析技術の向上などから、測定結果を一概に比較できないが明確な経年変動などは見られていない。また、全国的には、都内の底質のダイオキシン類の汚染レベルはやや高い傾向にあった。
 水中のダイオキシン類の存在形態の検討からは、90%以上が懸濁物質に吸着して存在していた。さらに、水質と底質の組成には類似性が認められ、下流域や内湾の底質濃度が概ね高くなることから、ダイオキシン類は内陸部から懸濁物質とともに輸送され、下流域に堆積していると推察される。
 水圏のダイオキシン類の汚染源としては、焼却やPCB製品の影響に加え、PCPやCNP由来の報告が多い。都内の河川、内湾の場合も、CNP不純物として知られる1,3,6,8-、1,3,7,9-T4CDDやPCP不純物と指摘されているO8CDD、1,2,3,4,6,8,9-H7CDFなどの異性体が、焼却由来から推定されるよりはるかに高い比率で検出され、農薬の影響が示唆された。都内土壌と異なり水圏で農薬由来のダイオキシン類汚染が見られた原因は、都内河川の多くが広く首都圏を集水域としているためと考えられる。
 都内の高濃度汚染の例としては、東京湾に近い運河部の底質から環境基準(150pg-TEQ/g)を超えるダイオキシン類が検出された。組成からは、PCB製品の流入を示唆する高濃度のCo-PCBに加え、1,2,7,8-と2,3,7,8-T4CDFが際立って高い典型的な塩素漂白パターンが見出された(図5)。漂白由来のダイオキシン類は1980年代に問題となり、既に対策が行われているだけでなく、同地域は下水道が完備している。現在、最終的な処理対策に向け詳細な調査を進めているが、周辺に漂白関連の事業所も見あたらないため、かなり以前に塩素漂白の廃液/廃棄物の投棄または流入があった可能性がある。

 また、多摩川、隅田川、江戸川などの大河川が流入している都内湾において、底質柱状試料を採取し、年代別の堆積状況を検討した。図6に示したように、1900年以前の底質からも微量であるがダイオキシン類、PCBが検出されたが、1950年代に濃度レベルが急激に上昇し、1970年代に最大となり、その後緩やかな低下傾向を示している。

 PCDD/PCDFについては、年代の古い底質は燃焼排ガスの組成に近いが、1960~70年頃に燃焼に加え、PCPの影響が強く見られた。また、PCPの使用禁止に伴ってCNPが使われた1980年代にはCNPに特徴的な1,3,6,8-、1,3,7,9-T4CDDが最高濃度を示した。農薬の使用状況の変化を組成からも確認できたが、表層の底質に依然として農薬の影響が見られることから、難分解性のダイオキシン類が農用地に残留し、水圏への流入が続いていると考えられる。
 次に、PCB、Co-PCB については、PCB製品が使われていない年代の底質からもPCBやCo-PCBが極微量検出された。これらは、堆積物中で鉛直方向に輸送された可能性があるが、PCBに対するCo-PCBの割合が高く、Co-PCBの異性体で主に燃焼に由来する#169、#126の割合が高いため、燃焼の寄与もあると考えられる。なお、PCBやCo-PCBの濃度は、国内のPCB製品の出荷量が最大であった1970年代にピーク濃度が見られ、異性体組成からPCB製品の環境流出が汚染の主因と推定された。

(4) 生物圏
 生物の汚染レベルは、生息環境の影響を受けることが知られている。そのため、生物は蓄積性を持つ微量化学物質のよい環境モニターになるが、環境省のダイオキシン類の全国調査(2000年)において、都内湾で採取された魚介類のダイオキシン類濃度(TEQ)が全国平均に比べ、約7倍高いことが報告された。

 そこで、魚類(アナゴ、スズキ)、プランクトン及び生息環境としての海水、底質中のダイオキシン類、PCBの調査を行い、汚染源、汚染経路などを検討した。このうち魚類のダイオキシン類濃度は4.5~18pg-TEQ/g-wetの範囲にあり、環境省の調査同様に都内湾の魚類の濃度レベルが全国的には見て高いことが確認された。また、魚類のダイオキシン類濃度(TEQ)の80%以上をCo-PCBが占め、同一魚種の全国平均と比べCo-PCBの割合が10%以上高い特徴を有していた。

PCDD/F総濃度 Co-PCB総濃度 PCB濃度
湿重量当り 脂肪重量当り 湿重量当り 脂肪重量当り 湿重量当り 脂肪重量当り
底質 7.0×106 2.8×105 3.3×105
プランクトン 4.6×103 1.8×105
アナゴ 2.3×103 1.4×104 1.7×106 1.1×107 1.7×106 1.1×107
スズキ 2.1×102 9.1×103 2.7×106 1.2×108 1.8×106 7.6×107

表1 都内湾におけるダイオキシン類、PCBにおける濃縮係数(海水濃度を1として算出)

 Co-PCBが魚類のダイオキシン類濃度上昇に関与していることが示唆されたため、生物濃縮性の観点で各媒体のPCDD/PDDF、Co-PCB、PCBを検討した。都内湾の海水の濃度に対する底質、プランクトン、アナゴ、スズキの濃縮係数を比較すると、PCDD/PCDFに比べCo-PCBとPCBは2~3オーダー生物濃縮されやすいことが認められた(表1)。そのため、都内環境のCo-PCBの濃度レベルが全国的にみてやや高いことが食物連鎖で増幅され、都内湾の魚類のダイオキシン類濃度を高めたと推定される。
 現在、東京都ではCo-PCBの主要汚染源であるPCB製品の無害化処理施設の整備計画を進めている。しかし、最終処理だけでなく、処理が終わるまでの期間もPCB製品の環境流出防止に努めていくことが、都内環境のCo-PCB汚染の低減、さらに魚介類濃度の低減のために重要と考えられる。

3 おわりに
 東京都は1997年に「東京都ダイオキシン類対策取組方針」を定め、発生源対策などを進めてきた。その結果、環境大気には削減対策の効果が表れてきたが、ダイオキシン類の残留性の高さから土壌圏や水圏には明確な改善傾向が表れていない。
 ダイオキシン類問題は、残留性の化学物質による環境汚染が発生すると、その修復には長い時間と膨大な労力・コストがかかることを示唆している。そのため、環境問題が顕在化してから対応するのではなく、次世代へ残す環境を考慮したライフスタイルの創造や環境対策を進めていくことが求められる。

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友の死を悼む

20年来、環境問題を通じて個人的な親交を深めてきた朝日新聞社の記者が亡くなりました。ここに慎んで哀悼の意を表します。

今年の年賀状では病魔と闘ってきて新たな人生を送りますとの力強いメッセージをいただいていましたのに、様態が急変されたようで、数日前に新聞紙面に訃報が掲載されてびっくりしました。

同新聞の『窓」に「友の死」が掲載されたのと、2月10日に「お別れ会」が催されますので、その報道記事を掲載します。

(窓・論説委員室から)友の死
2006.01.13 東京夕刊 2頁 2総合 (全681字) 

 「素粒子」はときに公私混同する。

 10日付最後の項に、「3日前、友を亡くす」と記し、漱石の〈生残(いきのこ)るわれ恥かしや鬢(びん)の霜(しも)〉という句を引いた。

 幾人(いくにん)かの人から、友とはいったい誰(だれ)のことかとの問いかけを受けた。私事で勝手な感傷(かんしょう)にふけるなんぞけしからぬといった詰問(きつもん)ではなく、どういう人だったのかと言ってくださる向きもあり、少し書く。

 鈴木規雄(のりお)という。社会部で一緒だった。

 中学で記者に志し、新聞が飯(めし)より好きな男だった。私のごときちゃらんぽらんではなく、何事にもきちょうめんだった。辛気(しんき)くさい警視庁の捜査2課をまじめに回り、世間を騒がせた旧KDD事件では、病院に雲隠れ入院した社長室長に接触せんと昼間のうち院内に入り込んで、夜が更(ふ)けるや病室へ向かい一問一答をやってのけた。

 命に関することとなると必死の面構(つらがま)えになった。六価クロム問題やダイオキシン問題をしつこく追った。酒も飲まぬくせに、まるで二昔も前の記者に似て、ほとんど家庭を顧(かえり)みることなく、深夜未明に帰宅してただ眠るだけという暮らしぶりであった。

 87年の憲法記念日に記者2人が殺傷(さっしょう)された阪神支局襲撃事件を機に始まった連載の「『みる・きく・はなす』はいま」に、記者、デスク、社会部長、大阪編集局長としてかかわった。「普通に暮らす人々の物言う自由は今あるのか」と問い続けた。結局事件は未解決で時効に至る。それでがっくりきたのかも知れなかった。鈴木は逝(い)ったが、連載は今年も続く。〈河谷史夫〉

朝日新聞社

鈴木規雄さんのお別れの会
2006.01.13 東京朝刊 35頁 1社会 (全83字) 

 故鈴木規雄さん(朝日新聞元大阪本社編集局長)のお別れの会

 2月10日午後6時から東京都千代田区有楽町2の5の1の有楽町マリオン11階「有楽町朝日ホール(スクエア)」で。

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2006年1月17日 (火)

「蔵王に産廃施設」中止求める会結成(宮城)

2006.01.13 東京朝刊 31頁 (全325字) 

 蔵王町宮地区に産業廃棄物の中間処理施設を建設する計画が表面化し、地元住民が11日、計画中止を求めて「蔵王の環境を守る会」(平間久義会長)を結成した。

 処理施設を計画しているのは同町内の業者で、自社所有地内に建設する。事業計画書によると、焼却施設と粉砕施設を整備。汚泥や廃プラスチック類、木くずなどを処理する。焼却施設の処理能力は日量24トン。環境保全対策として焼却物は建屋内に保管し、施設にはダイオキシン対策も施す。

 しかし、住民らは「環境汚染が心配。風評被害で蔵王産の農産物が売れなくなり、観光客が減少することも懸念される」として、反対の署名運動などを展開していくという。

 これに対し、業者側では「法律を守りながら計画を進めていきたい」などと話している。

読売新聞社


宮城・蔵王町に産廃中間施設計画/住民が反対グループ結成
2006.01.12 河北新報記事情報 (全572字) 

宮城・蔵王町に産廃中間施設計画/住民が反対グループ結成

 蔵王町宮に産業廃棄物の中間処理施設を建設する計画が浮上し、これに反発する地元住民たちが11日、町ふるさと文化会館で「産業廃棄物処分場に反対する住民集会」を開いた。「蔵王の環境を守る会」(平間久義会長)を結成し、計画中止を求める活動に乗り出す方針を決めた。

 産廃施設は、蔵王町の業者が自社の敷地内に計画。昨年秋の地元説明会で住民に示した事業計画によると、焼却施設と破砕施設を整備し、動物の死骸(しがい)や汚泥、がれき類などを処理する。

 環境保全対策としては、焼却物を建屋内に保管したり、処理物を建屋で囲ったりして雨水に触れさせないことや、ダイオキシン対策の実施などを挙げている。

 集会には、地元の向山、矢附両行政区の住民をはじめ、村田町の住民グループ「竹の内産廃からいのちと環境を守る会」のメンバーら約150人が出席した。

 我妻稔町議会議長や佐藤詔雄県議ら議員関係者も多数参加してあいさつし、「豊かな環境を子々孫々に残すため、結束して反対の声を上げよう」と呼び掛けた。

 蔵王の環境を守る会は今後、「環境汚染や風評被害により、蔵王産農産物が売れなくなり、観光客も減少する恐れがある」として、署名運動や県、町などへの要請活動などを展開する。20日には産廃問題に詳しい弁護士を招いて学習会を開く。

河北新報社

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2006年1月16日 (月)

世界の環境ホットニュース(GEN)より

                  -
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■世界の環境ホットニュース(GEN)■ 231号 転載歓迎 03年5月22日・別処珠樹■

          いわゆる「ダイオキシン本」について

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昨年、ダイオキシン・PCBについて書いていただいた原田和明さんが、今度は
いわゆる「ダイオキシン本」なるものについて送ってくださったので、掲載しま
す。異なるご意見があればご投稿下さい。――編集者
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                                原田和明

『ダイオキシン―神話の終焉(おわり)』という本が話題になっているらしい。
ある書評によると、「科学的分析に加え、日本での異様な盛り上がりの背景も検
討しているところがこの本のおもしろさ」なのだそうだ。しかし、私はまだ原本
を読んでいない。そして、未だに読みたいという気分になれない。

なぜか読みたくなった本は『日本の黒い夏―冤罪』だった。松本サリン事件で一
市民が犯人であるかのような報道をされた背景を検証した社会派映画のシナリオ
である。設備のない民家で一市民が猛毒を製造することが可能なのか?という根
本の問いには誰も答えないまま、当事者は追い詰められていく・・・。

さて、『ダイオキシン―神話の終焉(おわり)』では、「ダイオキシン問題では、
一部の反ダイオキシンNGOが大きな役割を果たした」(前述の書評より)とい
う風になっているらしい。また「ダイオキシン問題がこんなにクローズアップさ
れているのは日本だけだ、とこの本は指摘している。」(同上)そうな。

世界でも特異な盛り上がりを演出できるほど、神話を作れるほど日本のNGOっ
て力があったんでしたっけ? そんなの無理でしょうと思うのですが、原本には
NGOの役割の大きさをどう「科学的に」説明されているのでしょうかね? 松
本サリン事件同様、犯人に仕立て上げられてはいないのだろうか?という疑問が
あります。

ダイオキシンビジネスに携わって利益を上げてきた産業界(主に重厚長大企業)
やゴミ行政を司ってきた厚生官僚、そして専門家と呼ばれる人々(特に大学人)、
視聴率競争に終始する商業マスメディアの、この問題に果たしてきた役割には言
及されているのか?  特に東大が果たさなかった役割には言及していてほしいで
すね。

ダイオキシン政策では京大の独壇場(言い過ぎか?  少なくとも東大の影は薄か
った)といった感がありました。ダイオキシン特措法の問題をあげるなら、方向
づけに力のあった京大、問題点をなんら指摘できなかった東大を含む他大学にこ
そ批判の矛先をもっていかなければならないのではないのだろうか?

もう1つ気がかりなのは、出版のタイミングです。ダイオキシンビジネスは既に
「経営的にうまみのない」分野となっているといいます。過当競争で単価が下が
っています。新型焼却炉も儲けのうすいビジネスになってしまっているそうです。
技術的にもうまく行ってないようです。だから、産業界の本音は「ダイオキシン
とはそろそろ手を切りたい」というところでしょうか。

日本政府は2028年までにPCBを処理するという「ストックホルム条約」に
調印しました。そのタイムスケジュールに従って、まもなく北九州市でPCB処
理が始まります。ところがダイオキシン特措法や、「ダイオキシンは猛毒」とい
う世間のイメージがあっては、処理事業が進められないのです。たとえばPCB
を保管元から処理工場へ移動させる際に、容器をもちあげたら底が抜けてPCB
が流れ出したとか、A社のPCB機器とB社のPCB機器を同梱して輸送中、A
社の機器からPCBが漏洩してB社の機器の外側を汚染した、などの場合、誰が
その汚染除去費用を負担するのかという問題が一向に決着できないでいるのです。

この本は [処理] コスト圧縮のよい口実にはなるでしょう。結果的には、まさに
産業界の要請にぴったり合うように出版された。執筆の動機、きっかけについて
も言及していただきたかったです。

さて、原本はきっと「科学的」にまとめられていることでしょう。私自身も「ダ
イオキシンは猛毒」という表現に違和感がありましたし、膨大な処理コストをか
けることについても疑問をもっていました。ですから読めばなるほどと感じると
ころも多々あるだろうとは思います。ただ、本屋で探してみましたがまだ手にす
ることができずにいます。以上のことにまで言及されているのでしたら、的外れ
でした。ごめんなさい。

  --------------------------------------------------------------------
●なお、この件については次の雑誌に記事があります。ご参照ください。
  月間『自然と人間』4月号 =自然と人間社= http://www.n-and-h.co.jp 

 ▼藤原寿和さん「"ダイオキシンは危険ではない"という珍説」
 ▼吉川三津子さん「『ダイオキシン=神話の終焉』が引き起こした波紋」

  購読・一冊購入の申し込みは上記サイトから。または、電話03-3495-7189・フ
  ァクス03-5496-9020 でもどうぞ。年間4600円で充実した記事が読めます。
  この号には次の記事もあります。これ宣伝するのを忘れていたかもしれません。

  ▼別処珠樹「資本主義の後に来るもの――世界社会フォーラムを支えたポルト
  アレグレ市の実験」

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国立環境研究所 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト終了報告会のお知らせ  

主催:国立環境研究所環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト
日時:2006130日(月)〜31日(火)
場所:国立環境研究所 地球温暖化研究棟 交流会議室
発表:口頭発表
特別講演:西川淳一(大阪大学;30日), 森千里(千葉大学;31日)
参加費:無料 先着60
参加希望の方は、氏名、所属、連絡先を明記の上、Faxで下記へお申し込み下さい。

<連絡先>国立環境研究所環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト(相澤) Tel029-850-2332Fax. 029-850-2570

詳細はhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jsedr/info/houkokukai.pdf

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2007ダイオキシン国際会議に向けて実行委員会の結成を!

ダイオキシン関東ネットのブログを読んでいただいている皆さまへ

すでにお知らせしているように、2007年8月27日~9月2日にかけて東京のホテルオークラ本館でダイオキシン国際会議DIOXIN2007が開催されます。日本では、ダイオキシン問題がマスコミを含めて下火になっておりますが、相変わらず廃棄物の焼却は継続されていますし、廃炉になった焼却施設も解体問題や、これまで環境中に放出されたダイオキシン類による土壌汚染問題、そして過去から高濃度汚染の暴露を受けてきた私たち国民の継世代に及ぶ健康被害の発生問題など、まだまだ問題は山積しております。

そこで、ダイオキシン関東ネットでは、この会議に向けて、世界各国から参加される政府機関や企業関係者及びNGOに対して日本の国内でダイオキシン問題に取り組んでいるNGOとして発表やメッセージを発信したいと考えておりますが、そのための取り組みをぜひとも国内のダイオキシン汚染問題に取り組んでおられるNGOの皆さまと実行委員会を結成して取り組んでいきたいと考えております。この趣旨にご賛同いただける方は、団体であると個人であるとを問わずぜひともご連絡をいただきたいと思います。

具体的にはこれからできるだけ早期に実行委員会設立のための準備会を開催し、準備会主催で今年夏から秋頃にプレ集会を開催できないかと思います。できれば欧米各国でNGOの立場で取り組んでいる市民団体と連絡を取り合い、日本でプレ国際市民交流会議ができないかと考えております。

また、2007年に向けて関心や世論を盛り上げていくために、再度マスコミ等への働きかけを行い、事前キャンペーン活動を行っていきたいと思います。このブログでもご紹介致しましたが、1月8日(日)、TBSテレビが「噂の東京マガジン」で久々にダイオキシン問題はまだ終わっていないとのスタンスで、長時間の報道を致しました。私たちはさらに続編を放映してもらうように、働きかけを行っておりますが、他の報道各社に対しても2007年に向けて長期取材と報道を行っていただくように働きかけも行いたいと思っています。

以上のような趣旨でこれから取り組んで参りますので、どうぞよろしくお願いします。

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2006年1月15日 (日)

ダイオキシン国際会議2007のご案内

2007年に以下の日程で国際ダイオキシン会議DIOXIN2007が開催されます。

日時:2007年8月27日~9月2日

場所:ホテルオークラ本館

詳細が決まり次第お知らせします。

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2006年1月14日 (土)

京都深草の焼却炉に停止命令!

ダイオキシン、排出改善命じる 京都市、2業者に /京都府
2006.01.12 大阪地方版/京都 24頁 京都市内 (全267字) 

 京都市は10日、基準を上回るダイオキシンを排出していたとして、伏見区深草大亀谷大山町の「浜橋工業」と下京区東中筋通六条上ルの「上村組」の2産廃処理業者に対して、廃棄物処理法に基づき施設の使用停止や改善を命じた。

 市によると、市が05年9月~11月に調査したところ、伏見区深草扇ケ原町にある浜橋工業の焼却炉の排ガスから、基準値(1立方メートルあたり10ナノグラム)を3・4倍上回るダイオキシンが検出された。北区上賀茂十三石山の上村組の焼却炉の排ガスには基準値の1・6倍のダイオキシンが含まれていた。両施設は木くずなどを燃やしているという。

朝日新聞社


ダイオキシン基準超 京都市が検出、2社の焼却炉停止命令=京都
2006.01.12 大阪朝刊 31頁 (全308字) 

 京都市は11日、2社の産業廃棄物処理業者の焼却炉の排煙から、廃棄物処理法の基準を超えたダイオキシン類が検出されたと発表した。市は10日付で2社に稼働の停止を命じたが、近隣住民への健康被害の心配はないとしている。

 伏見区の浜橋工業と、北区の上村組が事業所内に持つ焼却炉。昨年10、11月に測定した結果、基準値(排煙1立方メートルあたり10ナノ・グラム)(ナノは10億分の1)に対し、浜橋工業は34ナノ・グラム、上村組は16ナノ・グラムだった。

 市は毎年、産廃業者の焼却炉の調査をしており、昨年度の調査では2社とも問題はなかった。市は「原因は不明」とし、今後、2社が改善措置を講じて再検査に合格するまで稼働はストップされる。

読売新聞社


ダイオキシン類:基準値超、市が使用停止命令--伏見区と北区の産廃焼却炉 /京都
2006.01.12 地方版/京都 25頁 (全398字) 

 京都市は11日、産業廃棄物処理会社の産廃焼却施設2炉について、排気ガス中のダイオキシン類濃度の測定結果が、廃棄物処理法で定める1立方メートル当たり10ナノグラム未満の基準に対し、3・4~1・6倍だったとして、使用停止の改善命令を出した。1年以内に改善されない場合、廃炉となる。

 命令を受けたのは、浜橋工業(本社・伏見区)の伏見区深草扇ケ原町にある1日当たりの焼却能力が4・9トンの炉と、上村組(同・下京区)の北区上賀茂十三石山町にある同4・8トンの炉。測定結果は、浜橋工業が34ナノグラム、上村組が16ナノグラムだった。

 測定は、同法に基づいて同市内の民間産廃焼却施設7施設で同市が毎年実施しているが、今回は昨年9~11月に実施し、2施設が基準を超えた。

 同市廃棄物指導課は「周辺住民への健康影響の可能性は薄いが、念のため、土壌などの汚染調査を実施の方向で検討している」としている。【藤田文亮】

毎日新聞社

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2006年1月13日 (金)

北区ダイオキシン等健康影響評価委員会開催のご案内

第2回健康影響評価検討委員会がひらかれます。
    日時・場所 1月22日(日) 午前10時から12時  豊島ふれあい館
    テーマ  1 対象者の選定。(150名のところ248名の希望者でした)
          2 重金属についての健康調査内容の検討。 
    検討委員会は公開で行われます。

詳細は以下の北区ホームページをご覧下さい。

http://www.city.kita.tokyo.jp/dioxin/20060113.pdf

会場の豊島ふれあい館の所在地は

豊島ふれあい館
(豊島区民センター内)
北区豊島3-27-22
TEL:3927-3641

<交通機関>JR京浜東北線「王子駅」から徒歩10分、都電荒川線「梶原駅」から徒歩0分

会場のMAPは以下の施設マップから探して下さい。

http://www.city.kita.tokyo.jp/koho/shisetu/index_04.htm

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