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2006年1月16日 (月)

世界の環境ホットニュース(GEN)より

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■世界の環境ホットニュース(GEN)■ 231号 転載歓迎 03年5月22日・別処珠樹■

          いわゆる「ダイオキシン本」について

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昨年、ダイオキシン・PCBについて書いていただいた原田和明さんが、今度は
いわゆる「ダイオキシン本」なるものについて送ってくださったので、掲載しま
す。異なるご意見があればご投稿下さい。――編集者
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                                原田和明

『ダイオキシン―神話の終焉(おわり)』という本が話題になっているらしい。
ある書評によると、「科学的分析に加え、日本での異様な盛り上がりの背景も検
討しているところがこの本のおもしろさ」なのだそうだ。しかし、私はまだ原本
を読んでいない。そして、未だに読みたいという気分になれない。

なぜか読みたくなった本は『日本の黒い夏―冤罪』だった。松本サリン事件で一
市民が犯人であるかのような報道をされた背景を検証した社会派映画のシナリオ
である。設備のない民家で一市民が猛毒を製造することが可能なのか?という根
本の問いには誰も答えないまま、当事者は追い詰められていく・・・。

さて、『ダイオキシン―神話の終焉(おわり)』では、「ダイオキシン問題では、
一部の反ダイオキシンNGOが大きな役割を果たした」(前述の書評より)とい
う風になっているらしい。また「ダイオキシン問題がこんなにクローズアップさ
れているのは日本だけだ、とこの本は指摘している。」(同上)そうな。

世界でも特異な盛り上がりを演出できるほど、神話を作れるほど日本のNGOっ
て力があったんでしたっけ? そんなの無理でしょうと思うのですが、原本には
NGOの役割の大きさをどう「科学的に」説明されているのでしょうかね? 松
本サリン事件同様、犯人に仕立て上げられてはいないのだろうか?という疑問が
あります。

ダイオキシンビジネスに携わって利益を上げてきた産業界(主に重厚長大企業)
やゴミ行政を司ってきた厚生官僚、そして専門家と呼ばれる人々(特に大学人)、
視聴率競争に終始する商業マスメディアの、この問題に果たしてきた役割には言
及されているのか?  特に東大が果たさなかった役割には言及していてほしいで
すね。

ダイオキシン政策では京大の独壇場(言い過ぎか?  少なくとも東大の影は薄か
った)といった感がありました。ダイオキシン特措法の問題をあげるなら、方向
づけに力のあった京大、問題点をなんら指摘できなかった東大を含む他大学にこ
そ批判の矛先をもっていかなければならないのではないのだろうか?

もう1つ気がかりなのは、出版のタイミングです。ダイオキシンビジネスは既に
「経営的にうまみのない」分野となっているといいます。過当競争で単価が下が
っています。新型焼却炉も儲けのうすいビジネスになってしまっているそうです。
技術的にもうまく行ってないようです。だから、産業界の本音は「ダイオキシン
とはそろそろ手を切りたい」というところでしょうか。

日本政府は2028年までにPCBを処理するという「ストックホルム条約」に
調印しました。そのタイムスケジュールに従って、まもなく北九州市でPCB処
理が始まります。ところがダイオキシン特措法や、「ダイオキシンは猛毒」とい
う世間のイメージがあっては、処理事業が進められないのです。たとえばPCB
を保管元から処理工場へ移動させる際に、容器をもちあげたら底が抜けてPCB
が流れ出したとか、A社のPCB機器とB社のPCB機器を同梱して輸送中、A
社の機器からPCBが漏洩してB社の機器の外側を汚染した、などの場合、誰が
その汚染除去費用を負担するのかという問題が一向に決着できないでいるのです。

この本は [処理] コスト圧縮のよい口実にはなるでしょう。結果的には、まさに
産業界の要請にぴったり合うように出版された。執筆の動機、きっかけについて
も言及していただきたかったです。

さて、原本はきっと「科学的」にまとめられていることでしょう。私自身も「ダ
イオキシンは猛毒」という表現に違和感がありましたし、膨大な処理コストをか
けることについても疑問をもっていました。ですから読めばなるほどと感じると
ころも多々あるだろうとは思います。ただ、本屋で探してみましたがまだ手にす
ることができずにいます。以上のことにまで言及されているのでしたら、的外れ
でした。ごめんなさい。

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●なお、この件については次の雑誌に記事があります。ご参照ください。
  月間『自然と人間』4月号 =自然と人間社= http://www.n-and-h.co.jp 

 ▼藤原寿和さん「"ダイオキシンは危険ではない"という珍説」
 ▼吉川三津子さん「『ダイオキシン=神話の終焉』が引き起こした波紋」

  購読・一冊購入の申し込みは上記サイトから。または、電話03-3495-7189・フ
  ァクス03-5496-9020 でもどうぞ。年間4600円で充実した記事が読めます。
  この号には次の記事もあります。これ宣伝するのを忘れていたかもしれません。

  ▼別処珠樹「資本主義の後に来るもの――世界社会フォーラムを支えたポルト
  アレグレ市の実験」

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